施主の本音
子供が飛び跳ねる床

玄関を開けると、インテリア雑誌に出てきそうな佇まい。今回マンションリフォームを実施されたI邸である。「木が好きで、コツコツ集めた小物や、20年以上使っている家具もあります」とIさん。和紙照明の作家として活動されたことがあると聞き、納得。
「ここは築13年のマンションで、5年前購入した際もリフォームしました。天井に梁を施すとか、壁に漆喰を塗るなど。ただ時間がなかったので、床だけは新建材のフローリングのまま。それがずっと気になっていて」

昨年、民家のマンションリフォーム講座と完成見学会に参加されリフォームを決意。今年1月中旬から工事が始まった。キッチン、浴室、トイレ等の水回りの設備を入れ替え、フローリングはすべて無垢のスギ板に張り替え、一部の壁に竹炭・ゼオライト入りの<そよかぜ>を塗装。L字型のシステムキッチンのユニットを取り除いて平面のカウンターを設置。「キッチンをさえぎるものがなくなり、空間が広くなりました。カウンターと食器棚は木族で紹介されていた手づくり家具の職人さんにつくってもらって。カウンターはクリ材のしっかりした造りで、食器棚は取り出しやすいよう奥行が浅め。シンプルなデザインで素材の質感が生かされ、とても気に入っています」
植木の世話を兼ねて、たびたび現場に行き、大工さんとよく打合せもされたという。「取り外したユニットがトチのいい材だったので、これを利用して違い棚をつけてもらうことにしました。そこにお雛様を飾りたいと言ったら、見て楽しむものなら低めがいいということで床高130cmに設置。イスに座るとほぼ正面に見え、しっくり収まりました」

無垢のスギ板を張ったことで空気が柔らかくなったとも。「ステレオやテレビの音の響きがよくなったように思います。当初、節なしの材を考えていたんですが、節ありのほうが値段も安く、経年変化が楽しめるかなと。これから床がいい色に育つのを楽しみにしています。無垢の木の床は当たりがやわらかいのか、小さい子がよく飛び跳ねるんです。夏、素足で歩くのが楽しみ。最後に、感想として、マンションリフォームの講座で引越しが必要になるケースがあることも伝えてくださったらと思いました。当初、工事中も住むつもりでしたが、ストレスとほこりがすごいと聞き、部屋を借り、家具はトランクルームに預けることになりました」