WORKS事例紹介

古材の活きるハナレ

計画中

ハナレを新築したい、とのご要望を受け三田へやってきました。

武庫川沿いの田園と里山を遠くまで眺める気持ちの良い場所。

国道沿いに民家が立ち並び、お施主さんの家も瓦屋根の大きな母屋をお持ちでした。

手前には丈夫な鉄骨の駐車場。

南面の国道には沢山の車が通り賑やかな印象。

北面ののどかな景色とのメリハリを効かせたプランが必要そうです。

そして今回とっても嬉しかったのがこちら。

松の古材を再利用して欲しいとのご要望でした。

元々ここに建っていたお店で使っていた梁材です。思い出も合わせて、是非大事に使いましょう。

ご要望をまとめると、

・夫婦二人で、母屋のご両親との生活に寄り添えるハナレを建築したい。

・一階は収納がメインで水廻りも最小限に。

・予算に合わせてローコストで。

との事。

早速プランに取り掛かります。

明確な予算とご要望のおかげで、いつになく設計も順調に進みました。

様々なパターンの大量の見積書を精査し、予算の検討を行いながら図面に調整を加えつつ進めます。

設計施工だから出来る技ですね。

さて、完成しました1stプラン。

南面の国道側はミニマルに無駄のないデザイン。

アクセントに木を加えた玄関と2階ドアが引き立ちます。

2階ドアからは将来的に手前の駐車場上に設置されるウッドデッキにアクセスできるようになっています。

国道沿い西側から見るとよりシンプルな外観が引き立ちます。

屋根勾配を母屋と揃え、高さと色を抑えることで現代版蔵のような印象に。

ミニマルな外観と対照的に、中に入ると松の古材を使った表しの梁や杉の柱がふんだんに使われモダンな古民家の印象です。

予算にもぴったりと納まり、窓や内装の打合せを終え8月に棟が上がります。

施工契約の際には、

金額も不安になることが無く安心して進めることが出来ました。

と嬉しいお言葉を頂きました。

予算に合わせて、価値あるローコストを目指せました。

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建設中

ついに施工が始まります。

まずは地鎮祭、施主ご家族皆さん集まって、工事の安全祈願と土地の神様へご挨拶を行います。

雨予報もなんのその、青空も顔を出す地鎮祭になりました。

地鎮祭が終われば早速基礎工事が始まります。

パンチパーマのおっちゃんお兄さん、昔ながらの職人気質できっちり仕事を納めてくれます。

現場で基礎工事が進んでいる間、民家の倉庫には何やら大きな松梁が運び込まれてきました。

元々敷地に立てられていた建物の松梁を再利用するため、大工さんが仕口の加工をしています。

私も興味津々、丸太梁の仕口の作り方、墨の出し方を教えてもらいました。

曲がった材にどうやってまっすぐ線を引くんだろう。。。。。?

仕口の完成した松梁を、次は施工部の川崎さんにバトンタッチ。

表面の古材の色は残しつつも汚れは残さず、程よく艶も出したい。安易に古材に色は付けるのは避けたい。

と設計の無理難題に対して様々方法を提案頂いて、サンダー2度がけの天然オイル仕上げに行きつきました。

素材を活かした程よい照り感が素晴らしい!

現場では基礎工事が終盤に。

耐震等級3の鉄筋はやっぱり丈夫。フックにダブルのトップ筋は民家の標準です。

基礎が完成すると棟上げです。

20坪のコンパクトなお家はお昼には綺麗に棟が上がりました。

田園の景色に杉の香りが広がります。

母屋との高さとのバランスや配置を再確認して安堵しました。いい家になりそう。

今回は耐力壁面材を採用しているので、あっという間に外壁下地が完了。

古材の松梁と梼原からやってきた若い構造材とのバランスが楽しいですね。

内壁が仕上がればグッと魅力を引き立て合う事を期待!

外壁の仕上げも進んできました。

軒の出が少ない分、外壁の耐久性には気を使い、ガルバニウム鋼板よりもさらに錆に強いSGL鋼板を採用しています。

一枚一枚職人さんが丁寧に壁に貼り付けて行く一文字張り。和風の街並みにもピッタリです。

内部では、壁の仕上げ作業が進んでいます。

今回は、和室の塗り壁を施主自ら施工することになりました。

家族揃っての塗り壁作業、チームワークもピッタリです。

ゼオライトと竹炭を配合した調湿性能抜群の微風は、100%自然素材で安心の塗り壁材です。

4畳半の和室が半日でほぼ完成しました。

色は黄土色をチョイス。和室の落ち着いた雰囲気にピッタリです。

気づけば足元に兄弟の手形が出来ていました。

家の一部分でも家づくりに参加するのは本当に素敵ですね。

家族そろって壁を仕上げた思い出が、しっかりと家の愛着に繋がっているように感じます。

内装も最後の仕上げ作業です。

ミニキッチンの後ろには爽やかな白いタイルが貼られていました。

綺麗に揃った目地とモザイク模様に職人技が光ります。

ナラのキッチンカウンターと白いタイルの相性が抜群です。

完成は目前です!

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完成

古材の活きるハナレ、完成しました。

まずはタイトルにもなっている、古材が生かされたリビングから。

天井には元々敷地内に建っていた建物で使われていた松梁が再利用されています。

当時から印付けられていた墨をそのまま残し、あえて古材の色味を残すように作りました。

天井はあえてシンプルに仕上げ、照明も壁と梁上の間接照明とすることで松梁をより印象付けています。

リビングを2階に持ってきたのは、広さの確保のためとこの景色があるから。

南面いっぱいに広がる里山の景色を独り占めです。

リビングの水廻りは造作のミニキッチンをコンパクトにまとめています。

リビングの中心に据えられる事を考慮して、デザインはもちろん素材や質感も丁寧に選定しました。

白いタイルと木目を生かした棚やカウンター、ホーローのシンクが可愛らしく温かい印象に。

キッチンの上はちょっとした物置ロフトスペースになっています。

8畳のリビングには4.5畳の和室と通じる三枚の障子が。

3枚の障子がすっぽり壁に納まるので、普段は部屋を一体的に使うことが出来ます。

建具の高さや見切りのラインを和室と揃えることでスッキリ。

和室にはお施主さん自ら施工した塗り壁が。

畳には農薬を極力使わず生産された省農薬畳が敷かれています。

和室の地窓は夏のお昼寝に最適、部屋全体の空気を効率的に入れ替えてくれます。

今回は部屋の大きさを考慮して建具の桟を細かく作ってみました。

障子紙越しの淡い光が行燈のようで綺麗。

お施主さん自ら施工した塗り壁も、左官屋さん絶賛の出来栄え。

ちょっと荒い仕上がりも陰影が付いてカッコいい!

緩やかに作った階段を降りると玄関と水廻りです。

階段を上がる時に見える梁がとても印象的でお気に入りの場面です。

コストを抑えるために水廻りはシンプルに作りました。

アクセントタイルをちょっと入れるだけでも、普通の洗面も素敵に変わります。

床はコルクタイルで仕上げているので冬でも温かく柔らか。

コンパクトながら、様々な素材を丁寧に扱うことで見所の沢山ある家になりました。

さて、現在外構工事中です。

二階にあるドアの正体がついに明かされます。

 

 

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施主の本音

最寄り駅から商業施設や工場群を通り過ぎ、川を渡ると一変、のどかな田園風景が広がる。

その田園風景の中に、ひときわ目立つのが木製デッキを設えたTさま邸です。

 

 

にこやかに出迎えてくださった奥さま。

 

み「まだスギのいい香りが漂っています!お住まいはとてもコンパクトでスッキリしていますね。」

主「ここは実家の隣で、昔、母が飲食店をやっていたんですが、廃業後は倉庫に。近所に住んでいた私たち家族は社宅(マンション)を出ることになり、2年前から物件を探していましたが、思うようなものが見つからず、倉庫を建て替えて住むことに決めたんです。しかし予定していた工務店と予算が折り合わず、困っていたときに、ふと民家さんはどうかなと思い出しました」

み「物件探しも中々難しかったんですね。民家のことはどうして御存知だったんですか?」

主「木族を昔から読んでいて民家さんの建てる木のお家に憧れていましたが、国産材は高いかもと諦めていたんです。相談させてもらった結果、予算内で納得のいく提案をいただいたのでお願いすることにしました」

み「みなさん最初は国産材の住まいは高いのでは、と仰られますね」

主「隣に同居できる家があるのに、この小さい土地に家まるごとの機能を詰め込むのは予算的にもったいないと思いました。子どもたちは成長すると出ていくでしょうし・・・」

 

み「ここを離れとし、ご実家を母屋として住み分けるお考えだったのですね」

主「新しい家は夫婦の寝室とリビング、ミニキッチン、トイレ、シャワールーム、納戸だけにしました。リビングの床は無垢のスギ板、寝室(和室)の壁には調湿効果のある塗り壁【微風】を親子4人で塗ったんです。せっかくきれいに塗れたのに息子は楽しかったのか、手でガサガサした模様をつけてしまって。家族の思い出ですね(笑)」

 

 

み「とてもDIYで塗られたとは思えないほどの仕上がりですね。車庫の上のウッドデッキもご主人がDIYで作る計画をされてたんですよね?」

主「僕はモノ作りが好きなので、ある程度、家ができたときに自分で製作するつもりでしたが、民家さんに金額を聞くとそんなに変わらないので、追加で発注しました。夏はここでバーベキューするのが楽しみです。できあがったのは小さい家ですが、のんびりと気持ちのなごむ快適な空間になっています。こどもたちは母屋に自分の部屋があるのに、いつの間にかここでくつろぎ、和室で一緒に寝ることも(笑)。ちょうどいい広さの居場所、気に入っています」

 

 

T邸のハナレ

所在地:兵庫県三田市

主要構造:木造在来工法2階建て 古材再利用

設計・施工:(株)建築士事務所 民家

竣工:

工期:

敷地面積:

建坪:32㎡ (10坪)

延べ床面積:64㎡ (20坪)

建物本体工事費用:

本体工事以外に要した費用: