WORKS事例紹介

モダンに木遣いの家

計画中

真冬の神戸市北区での改装完成見学会へご参加頂いたのが始まりです。
その春2018年の4月、勝手口あたりでシロアリを発見され現場調査依頼のお電話頂きました。
木造2階建て延べ床面積50坪のとても立派なお宅で問題なさそうなんですが…。

 

 

ベランダの防水が切れてリビングへ雨漏り、温熱環境、床下からの湿気…改善したい事も多く、
ご両親が新築された家で、一度改装もされ思い出のある家を活かす改装でのご相談でした。

 

 

広いお家だけに、全部改善すると金額がかさみます。床下が低く、断熱材が入っていないので、足元が寒かったと思います。

 

 

リノベーションのプランを提出しました。
赤の線が改装するところで、50坪全面改装です。

 

 

玄関位置から、洋室を車庫に変えたりと思い切ったプランで、気に入って頂いたのですが、
概算見積金額をお伝えするとご予算少しオーバーで、「少し考えさせて下さい。」とのこと。

 

しばらくして、ご連絡ありました。
「新築ぐらいの金額をかけて改装しても、床下が低いことや地震への不安は拭えないので、家の大きさを手入れしやすく小さくして新築の方向で。」
思い出のある家を壊すのに、覚悟がいったと思います。

そして、
新築プラン、延べ床33坪の広さです。既存建物50坪から、17坪スマートに!

 

 

模型のほうがわかりやすいですね。
北側道路の計画は、家の裏側感がでやすいので、そう感じないデザインで。
杉板をアクセントに入れて。
東側に車も停めれるように。

 

 

西側は児童公園で西日が厳しいので、窓は無し。でも、スリット部分に風抜け用の窓があります。

 

 

南側に庭ができ、吹き抜けにも大きな窓。
夏は涼しく、冬は暖かく。

 

 

パースで雰囲気を確認。
このプランを気に入って頂き、御見積へ。

 

 

図面作成と見積り調整にお時間も頂き、ご契約へ。
契約書の中の図面90枚です。

 

 

ご契約が済むとお施主さまは、お引越しの準備へ。お片づけのよい機会です!

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建設中

解体が始まりました。
いつも思うのですが、建てるにはとても月日がかかるのに、壊すのはあっという間です。

地鎮祭が厳かに始まりました。

見えるでしょうか、地面に縄を四角く張っています。
建物の位置を確認する「地縄張り」でとても建物が小さく感じます。

掘り方後、防湿シートを敷き、捨てコンクリートを打ってます。
捨てコンクリートは墨打ち(柱の中心線等を描く)の為です。

基礎の配筋。縦筋の上部のフックが要です。
排水等の先行配管も長く住むのに大切なところです。

ベースコンクリート打ち中。

土台(120角)・大引(105角)はヒノキ材を使用しています。
床下の部材をヒノキ材にし、風通しよい床下で防蟻処理無し。

棟上げが始まりました。大工さん、監督、皆の力を合わせ迫力のある一日です。
設計者は、図面通りで問題ないかドキドキしながら見てるだけで、何も手伝えません。

夕方、棟も上がり屋根下地の杉垂木も仕上がりました。

屋根の上に上がると、杉の垂木が美しく並んでいます。

上棟式は無事棟が上がったことへの感謝とこれからの工事の安全を祈願します。
四角の柱へお清めの塩と洗い米、清酒を一緒に撒きます。
お施主様と大工さんとの大切な顔合わせでもあります。

とても暑い時期の工事で扇風機が大活躍しました。

構造見学会は、完成すると隠れてしまうところを見ることができる大切な機会です。

LDKとトイレ洗面所に低温床暖房を採用しました。
無垢材でも床暖房はできます。

外壁の金属サイディング貼りも終わり、庇の軒裏の杉板も美しく塗装されています。
金属は冷たい印象になりますが、杉板があることで温かみがプラスされます。

屋根はガルバニウム鋼板立平吹き仕上げです。
足場があるうちにしか見れない気持ちの良い風景です。

内装下地も随分出来上がってきました。

キッチン横には勝手口入ってすぐのパントリー。
お買い物から帰ってきて、料理するまで快適な動線です。

トイレの手洗い器。

メンテナンスしやすいように杉板で隠しています。

さあ、完成です。

 

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完成

北側道路の家にありがちな裏みたいなファサードにならないよう窓の位置や大きさ、杉板のバランスを工夫しました。

 

 

南側に庭もでき、室内も明るくなりました。

愛犬も快適に過ごしています。

一番最初のお打ち合わせの時から、奥様がご要望していたキッチン背面の棚です。
センス良く飾られてます。

お施主様は、リビングから吹き抜けの大きな窓から見える空を眺めている時間が大好きだそうです。

 

 

南側のお隣は平屋ですが、将来2階建てになっても明るく過ごせます。

2帖の玄関ですが、十分な広さです。

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施主の本音

完成した後、お施主さんにお話を伺いました。

み「民家の事を知ったのは何がきっかけですか?」

主「前の家は築45年で雨漏りとシロアリが発生したので、建て替えを考えていました。終の棲家をどうするか、夫婦で話し合っていたんですよ。

ご近所の自然食品店”根っこや”さんはむくの木をふんだんに使った感じのいい店なので、『どこで建てたんですか』と聞き、民家さんのことを教わりました。パンフレットやHPを拝見し、見学会にも参加。大工さんと話をし、こういう人に家を建ててほしいと思いました。でも主人は近所の工務店でいいんじゃない?という反応で・・・」

 

 

み「その後、どうされたんですか?」

主「私も気持ちが揺らいでしまい、住宅展示場に足を運んだりもしました。でも結局、民家さんの良さがよくわかり、お願いすることにしたんです。

大きな決断なので、四柱推命の先生の見立てで解体の時期をずらしました。

他の悩みで再度みてもらったら、さらに入居をずらしたほうがいいと。工事が始まっているのに止めるわけにはいきません。このときばかりは自分たちの思いを信じ、できる限りのゲン担ぎをし、良くない卦を払拭しようと決意したんですよ」

み「いろいろと悩みが多かったわけですね。住まいに対するご希望とかはどんな感じでしたか?」

主「住まいに対する希望は、風と光がふんだんに入る、コンパクトな住まい。希望したのはそれぐらいです。あとはほとんど提案していただきました。

キッチンの棚は私がお願いし、設計士さんに対応してもらいました。天井ファンは掃除が大変と思い、予定にはなかったんですが、工事中に棟梁から空気が対流するのでいいよとアドバイスいただき、急遽、追加をしました。設計図や模型では実感が湧かなかったんですが、家が完成したときはとても感動しましたね。自分たちの家なのか信じられず、朝、夢から覚めるのではと思ったほど(笑)」

 

 

み「ご家族はいかがでしたか?」

主「主人は『ええ家やなあ~』が口癖になり、娘は掃除好きになりました。

偶然の出会いから家づくりに真摯な人たちに巡り会い、こんな素敵な家が建てられたことに感謝しています。その気持ちを忘れず、日々を大切に暮らしていきたいですね」

S邸

所在地:大阪府柏原市

主要構造:木造2階建

設計・施工:建築士事務所民家

竣工:2019年10月

工期:約5ケ月

敷地面積:50.92坪

建坪:約18坪

延べ床面積:112.07㎡

建物本体工事費用:約2,550万円(税別)

本体工事以外に要した費用:約820万円(税別)※解体費含む