DIARY現場日記

フィンユールを求めて

2021.09.07カテゴリー: 事務所便り

こんにちわ、お久ぶりです矢野です。

今回の記事を下書きに入れたままずっと放置しておりましたことを今思い出して書き直しております。

表題のフィンユールを何の気なしにググったのが7月。

フィンユールとはデンマークで活躍した建築家でもあり、ウェグナー、アアルトと同時代に活躍した北欧家具の巨匠です。

その時初めて日本でもフィンユールの椅子を作っている家具工房があることを知りました。

そして8月一杯でライセンス契約が切れて、製造できなくなることも同時に知りました。

場所を調べると飛騨高山。早起きすれば行けないこともないので早速行ってみました。

キタニさんです。

ショールームの中はこんな感じ。ため息が出るほど素晴らしい家具が。

オリジナル家具からライセンス家具まで全てキタニさんで作られています(当たり前か)。

なんと敷地内にデンマークに実在するフィンユール邸まで完全再現しており、予約してこちらも見学させて頂きました。

一緒に見学したのは私含めて3組、一組は新築の家の家具を揃えに来たご夫婦。一組は写真家。一組はただの野次馬。

世に出回っていない試作品の家具ですら、当時家に置いていたからと、試作品の試作品を作るという熱意。
間取りはもちろん、壁の仕上げからスイッチ照明まで、当時の資料をもとに再現したそうです。

8月でライセンス契約が切れる経緯として、フィンユール亡き後、奥様がキタニの技術を認め

NO.53という名前の椅子のライセンスを得ていたそうなのですが、その奥様が亡くなり全ての権利関係を

フィンユール財団が管理する過程で、デンマーク以外の国が作ることが認められなくなったそうです。

フィンユールの家具は美しい曲面が特徴なのですが、それ故に図面に表すことが出来ず

工房によって微妙にデザインが変ってしまうとか。

また、メイドインジャパンでのみ可能な日本の山桜で作られるのもキタニが最後。

そんなこと知ってしまい、知らされてしまい、欲しいと高いの攻防が毎日頭で繰り返される中、

8月が終わるギリギリについに決断してしまいました。

うちの狭いリビングに、場違いにもこの椅子がいらっしゃるそうです。

なんでしょう、楽しみ半面、なんかすみませんな気持ちです。