施主の本音

市街地から山あいの旧村まで車を走らせと、今回ご登場のY邸に到着。平屋の古民家ふうな外観が、周囲の景色とよく似合っている。コープ自然派のカタログに折り込まれた『木族』をよくご覧になられ、協会の見学会にも参加されていたYさんご夫妻。「尼崎の見学会に行き、やっぱり木の家はいいなと思いました。国産材を使っているところも気に入りましたね」とご主人。
築80年、農家の建築様式で建てられた住まいは「田の字」の間取りで、かつては土間の炊事場に「へっついさん」もあったとか。「20年前に土間をなくして床を上げるなど、ちょこちょこ手を入れていたんですが、今回のリフォームは水回りのやり替えと寒さ対策が目的でした。日本の家屋は夏を意識して建てるといいますが、昔の家はすきま風や床下から冷気がまともに入るのですごく寒い。私はこの家で生まれ育ったから当たり前と思っていたけれど、町育ちの妻はずっと忍耐だったんじゃないかな」

リビングと寝室の床に無垢のスギ板を張り、壁と天井はエコクロスと、呼吸する塗り壁『微風』を部分的に塗布。「工事が完了した2月後半から1カ月住んでいますが、こんなに暖かくなるとはびっくりです。断熱材の効果もそうだけど、スギは裸足でもほんのり暖かいので風呂上りに即靴下を履いていたのが、必要なくなりました。」
「料理のニオイが気にならなくなったのは不思議ね」とおっしゃるのは奥さま。「カレーなど香りの強い料理の翌日は、リビングにまでその匂いが残ったりするでしょ。それがぜんぜんないんです。塗り壁の効果なんですね」

玄関は傷んでいた上がり框(かまち)を一部やり替え、コンクリートだった三和土(たたき)は小石の表情が出る『洗いだし三和土仕上げ』に変更。「黒い柱や梁とよくマッチし、落ち着いた感じに仕上がり気に入っています。湿っぽさもなくなりました。」(ご主人)
高い天井の梁が印象的な縁側のある和室や家族団らんの明るいリビングなど、どの部屋も居心地のよさそうなY邸。「子どもたちがまた遊びに来たいと言います。みんなが楽しめる住まいにしたいですね」