DIARY現場日記

外壁の左官漆喰仕上

2009.12.14カテゴリー: 未分類

今回は、以前にやった現場の写真を元に、最近では珍しい外壁の漆喰仕上げ
について書かせて頂きます。

ラスを貼って、その上にモルタル下塗りをしている所です。
ここまでは、モルタル+吹き付け塗装 の工程と変わりません。
少し説明が長くなりますが、
モルタル下塗→養生→モルタル中塗→養生→吹き付け塗装
という工程が民家の標準的な外壁工事なのですが、
これを
モルタル下塗→養生→「中塗漆喰」+「上塗漆喰おっかけ塗り」
という工程にするわけです。中塗りと仕上げを一気にやってしまうのが
ミソで、工期も短縮できますし、しかも高い高いと思われがちな「外壁
漆喰仕上」を、前述の「吹き付け仕上」よりトータルの㎡単価で言うと
安くできてしまう画期的な工法です。
いつも遠路はるばる姫路からやって来て貰っている加藤左官さん考案の
左官仕上です。この工法の最大の特徴は、「中塗漆喰」を現場で材料
を混ぜて作ってしまうところでしょうか。(昔は当たり前だったそうですが)
今はプレミックス(既に全部粉末状に混ぜられて売っている)の左官材料
がほとんどで、水を入れて練れば終わり、みたいなのが多いのですが、
さすがは昔から左官一筋でやってこられた方。その辺の左官屋もどきとは
出来が違います(笑)。
以下、その「中塗漆喰」の材料の作り方を。

「スサ」を入れてるところです。水に溶かしきれるだけ溶かしきるらしいです。
これがたくさん入っている程、割れにくい強靭な壁になります。


「化学糊」を粉末石灰に混ぜてるところです。
普通「糊」というと、物をひっ付けたりする用途で使いますが、
左官材に混ぜる糊というのは、水引きを遅らせたり(乾燥時間を長く)
する為に使われます。
昔は「布海苔」を現場で焚く光景がよくみられたそうですが、今は
こういった「化学糊(メチルセルロース)」が主流です。

「消石灰」を混ぜている所です。実際の所はこれが水分を与えられたあと
乾燥することで硬化するわけです。

攪拌機で混ぜて…

細かい寒水石を入れてます。要は真っ白い砂。
別に普通の砂でもいいみたいですが、左官屋さんが気を遣って
白っぽいもので統一してるみたいです。
建築用語でいうと「骨材」(材料のカサを増やす目的でつかう)という
やつです。

バケツの中はこんな感じ。

できた材料をトロ箱に移しかえてます。少し水分がなくなって、なんか
食べ物みたいでおいしそう。

できた中塗漆喰を十分養生期間をとったモルタル下塗りに塗りつけて
いっております。

一方、並行して仕上げ用の漆喰(こちらは既調合の製品です)を練ってる
ところです。「城かべしっくい」という製品で、実際にお城の補修などで
使われているやつらしいです。

先ほどの中塗漆喰の水引加減をみて、乾き切らないうちに「おっかけ」て
仕上げの漆喰を塗りつけていきます。
この写真では分かりづらいのですが、一般の人にはあまり知られて
おりませんが、左官仕事で重要なのは、「塗り」と「押え」は別の
作業だという事です。
「塗り」が材料を均一に壁にいきわたらせることで、
「押え」はその表面を文字通り押えて平滑にしていく作業です。
パターンをつけたりするときも、「塗り」で一旦均一に塗りつけてから
その後に…という順序になるわけです。
そして、今回の大きなポイントとして、中塗り半乾きで仕上げるという
事で、より強靭な壁が出来、尚且つ工程が短縮されるということが
(くどいようですが)あげられるのではないでしょうか。
昔の漆喰仕上げは中塗りに土をつけていたので、剥離が起きやすかった
事も、中塗りの漆喰にすることで、より丈夫になるそうです。
とはいえ、左官屋さんはエンドレスに練り続け~の塗りつけ~ので
かなり大変そうでしたが。

ごらんの通り、ピッカピカです。景色が映りこんでおります。
ほれぼれする程素晴らしい。
↓以下、宣伝
大阪中北部~西明石くらいまでの範囲の方(左官屋さんの都合で)、
昔ながらの左官漆喰仕上げに憧れ・理解のある方、
モルタル・吹付け塗装仕上げより安くできるこの工法を
是非是非 ㈱民家まで御用命下さいませ。