焼杉と暖炉のある家
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- 建築中
- 完成
- 施主の本音
計画中
9月の気まぐれな天気を縫って、Sさんご家族の家づくりは伐採式から始まりました。

高知県ゆすはら町。雨が計ったように止んで、伐採式が始まります。
樹齢60年程度、20mを超える杉の大木です。

瑞々しく生命力感じる杉の伐採に少しためらいを感じながらも、
感謝の気持ちを込めて家族で順番に斧入れを行いました。
この木が家を支える柱になってくれるなんて、しみじみと感動します。

斧入れが終われば、仕上げはチェーンソーとクサビでプロがお手伝い。

クサビを打ち込む軽快な音に木の幹が軋む音が混じって間もなく、地響きと土埃りと共に大木が地面を打ちます。

辺りには杉のいい香りが広がります。伐採したばかりの木は水分をたっぷり含んで結構な重さ。
実際に現地に行って、触れて、嗅いで、体感してみないと絶対に味わえない感動です。

その後は、木の製材工程を見学頂きました。
伐採した杉の木も、沢山の人の手で丁寧に製材されて柱や梁になってゆきます。

次に杉の木に会うのは棟上げです。
建設中
着工に先立ち古家の解体が完了しました。
全体が見渡せるようになり、改めて敷地の広さを感じます。

更地になったので早速地縄貼りを行います。計画した建物が図面通り収まるか、
レーダーを使ってレベルチェックを行います。

地鎮祭の様子。
宮司さんはとても気さくで
「いや~、ぼく昨日は長野にいて、スキーのインストラクターのインストラクターもやってるんですよ」
から始まり、「ハイここ!そっちから写真撮ってね!」と、とてもフレンドリーな方でした。

地鎮祭も無事に終わり、地盤調査も問題なし。
いよいよ基礎着工です。
まずは堀方から

砂利敷き

防湿シートを貼りまして

捨コン たまにこのタイミングで、通りすがりの猫さんに肉球スタンプ押されます。

鉄筋が入りましたら

コンクリートを打設し、コンクリート強度が出るまでしばし養生期間に入ります。

コンクリートの強度が出たので、型枠を外し、いよいよ木工事です。

棟上げの日、応援の大工さんも入り、土台から柱 梁まで一気に組み上げます。


美しく並ぶ登り梁。
構造設計の先生による計算のもと、仕口の形状から野地板の貼り方、
使用する金物まで細かく指定されています。

屋根工事の様子。

ガルバリウム鋼板の立平葺き。高さもあって急勾配。見てるだけでおっかない・・。


一方中では大工さんが断熱材を貼っています。

天井高が高いため、施工に時間がかかります。
ということで、大工さんの人員を増やしまして、一気に進みまして
壁の仕上げになるラワンべニアを貼り終えました。

タイルも貼り終えて、あとは内装のみ。完成間近です。

完成
リビングの様子。
登り梁が整然と並ぶ吹き抜け天井。静けさと温みを兼ね備えた空間。

対面カウンターを備えた、こだわりの造作キッチン。

ラワン合板、クロス、木毛セメント板を使い分け、メリハリのある空間に。


一段下がった畳コーナー。泥染めの小農薬畳からいい香りがします。
個人的にヒソヒソ部屋と呼んでいます。何故かここに座るとヒソヒソ話してしまうから。

リビング側に座った時の高さを考慮して、キッチンは1段下がっています。

この家のテーマになる薪ストーブ。薪にもペレットにも対応しています。

2階の小窓からリビングを見た様子。

玄関から浴室までまっすぐ続く廊下。

断熱等級6、耐震等級3の、オシャレでまじめなおうちが完成しました。

施主の本音
’憧れの平屋スタイル’を満喫されているS様に完成までの経緯をうかがいました。

み「今回の住まいづくりについてお伺いしてもよろしいですか」
主「にぎやかな大阪市内でマンション暮らしをしていましたが、僕はアウトドア、妻は家庭菜園が趣味。田舎暮らしは長年の夢でした。夢をカタチにしようとまずは土地から。一年かけ、ここがみつかりましたが、偶然にも最初、土地探しに訪ねたエリアだったので、ご縁があったのでしょう。建物について大手工務店からもらったプランでいいかなと思いましたが、妻には響きませんでした」

み「奥さまはコープ自然派の組合員で長年、木族をご覧いただいてたんですね」
主「国産材を重視され、化学物質を使わない民家さんの理念に共感していたので、一度相談したかったんです。担当の方のお人柄と家づくりの情熱に夫婦ともども惹かれ、ここにお願いしようと決めました」
み「住まいに対する希望はワードで伝えられたとか?」
主「平屋、土間、陽当り、経年変化による風合い、温故知新とか。あいまいな表現でしたが一発目に出てきた図面を見てびっくり。ほぼイメージどおりのデザインだったんです。それをブラッシュアップさせていきましたが、民家さんの提案が随所に功を奏しています」
み「そのひとつが屋根と梁を工夫して、大きな無柱空間を支え、遮蔽物のない広いリビングを確保していますね。またスキップフロアをつくり、1.5階をセカンドリビングに変更できるなど、可変性のある間取りも楽しいですね」

主「耐震性や断熱性など基本的なところにお金をかけ、残りの予算で住まいの希望に優先順位をつけました。僕は広い土間と薪ストーブ、妻はアイランドキッチンと木製サッシの窓にこだわりましたね。コストカットのため、リビングの一部に合板を張り、ウッドデッキは断念。外構も最低限の範囲にとどめました。DIYが好きなので、家族とともに成長できる家をめざしていけたらいいなと思っています。自分たちの好きが詰まった住まいを手に入れることができ、民家さんにお願いして本当によかったです。大工さんや職人さんはフレンドリーだし、民家さんからは、やりたかった工法が実現できたと逆に喜ばれたりして(笑)楽しい家づくりでした!」
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所在地:奈良県明神山
主要構造:木造2階建
設計・施工:建築士事務所 民家
竣工:2025.03.26
工期:6ケ月
敷地面積:261.7㎡
建坪:25.8坪
延べ床面積:115.93㎡
建物本体工事費用:3000万円
本体工事以外に要した費用:約500万円


