施主の本音

丘陵地につくられたあたらしいまち。個性的な住まいが建ち並ぶ一画に、落ち着いた和風のたたずまいが印象的なI邸が今回の訪問先。南向きに広い庭を施したお住まいは、採光と通風のよさが一目瞭然、健康住宅そのものである。
「そうなんです。家族の健康を考えた結果、民家さんに建築を依頼したんです」とおっしゃるIさん。コープ自然派のご利用により、『木族』を手にされ、協会主催のちっちゃな木材市や塗り壁体験に参加されていたという。

奥さまは「まだ具体的に住宅の計画をしていないころから、何度かイベントに参加しました。日本の風土に合った国産材を使い、体にやさしい住まいを提案されていることに共感を覚えましたね。その一方でハウスメーカーの住宅展示場にも行ったりしましたが、建材のニオイがちょっと…私はアレルギーがあり、化学物質のニオイで頭が痛くなるんです。子どもはかゆみが強くなるようなので、新築の家に住むのは大変だなと思いました。そのうち、それまで住んでいた社宅を出る期限が決まり、住まいについて真剣に考える機会が訪れたんです」
新築か中古住宅のリフォームかを検討されていたところ、昨年9月にUR都市機構の宅地分譲に当選。工務店の検討を急がれた。「頭が痛くならない住まいは他にもありましたが、予算的なことも含め、安心できる材料で建ててくれるということで、民家さんにお願いすることになりました。たまたま、池田市で建てた24坪の新築見学会に参加し、小さいけれど住み心地のいい住まいに感激。身の丈に合うというか、無理なく、予算の範囲内の住まいでいいなと思いました。その分、庭が広くなるから子どもたちと野菜づくりが楽しめますし♪」と奥さま。

「自然素材ということで、材料は高いかもしれないが、それで住まいが小さくなっても家族の健康にはかえられませんね」(ご主人)
今年1月に着工し、4月中旬に完成。床にはむくのスギ板を張り、1階と2階主寝室の壁に漆喰をベースにした塗り壁「そよ風」、天井とほかの部屋の壁にはエコクロスを施した。
「梅雨どきのじめじめ感があまりなく、漆喰やスギ板の調湿効果を実感しましたね。スギのいい香りが気持ちよく、お願いしてよかったなと思います。ただ、打ち合わせ時の確認が不十分で、納戸にタンスが入らないなど、追加工事がいくつかあって…。納戸をやりかえるとおっしゃっていただいたんですが、せっかくできたものを壊すのは忍びなく、最小限の修正に留めていただきました。この新しい住まいで、家族仲良く、健康に暮らしていきたいと思っています」と結ばれた。